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【メンバーインタビューvol.1】「誰も見たことがない、ゾクゾクするものを作りたい」代表・金田政太
※弊社は2025年5月5日に「株式会社ハマ」へ社名を変更いたしましたが、本文中では掲載当時の旧社名「株式会社スペースエンターテインメントラボラトリー(SEL)」のままとなっております。
「SF映画が大好きで、映画監督になりたかった」
――どのようなきっかけで、SELを起業したのですか?
SF映画の監督になりたくて、大学は映像学科へ進学しました。卒業後はミュージックビデオを作る制作会社やテレビの制作会社に勤めていましたが、大学時代に種子島で見たロケットの打ち上げシーンが忘れられなくて。プロボノとして、日本初の民間の惑星探査プロジェクト「HAKUTO (ハクト)」にジョインしました。最初は映像制作を手伝っていましたが、次第にエンジニアリングや組織運営に関わるようになり、組織を株式会社化する時に取締役に就任しました。
やがて月面での音楽ライブなど「宇宙をエンターテイメントに利用する」ことに興味を持ち、人工衛星チームと一緒に株式会社スペースエンターテインメントラボラトリーを立ち上げました。
金田 政太さん|回り道をしてたどり着いた、憧れの宇宙。誰もやったことのない方法で世界に貢献する。|another life.
SEL立ち上げ当初は「成層圏気球」で映像ユニットを運び、宇宙と地球を背景に自動車メーカー「Audi」の宇宙広告を作ったり、「宇宙総合格闘技」の研究をしたりしていました。人工衛星の農業利用やマルチコプター式ドローンでのセンシングも行っていましたが、マルチコプター式ドローンだとどうしても、長時間、長距離は飛ぶことができないんですね。
そこで固定翼機の開発をしたいと思ったのですが、日本ではそもそも広い平地が少なく、滑走路を確保するのは至難の業。でも河川や湖、海などの水辺なら日本中どこにでもあるということで、水上離発着型の飛行艇ドローン「HAMADORI」の開発をはじめました。
ーーHAMADORIの開発で大変なことはなんですか?
最初は自宅ガレージであれこれ試作しては飛ばし、失敗して、を繰り返すような毎日でした。しかし次第に優秀なエンジニアが一人、二人と興味を持って手伝ってくれるようになり、世界でも類を見ない水上発着型の飛行艇型ドローン「HAMADORI」が誕生しました。でも海の上は波もありますし、塩水ですし、かなり過酷な環境なんです。機体自体の耐久性や、防水の面での苦労は絶えませんね。
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ーーHAMADORIはどのような活用用途があるのですか?
海の上で発着できるので、海洋での調査業務をメインに考えています。従来多くの人員を使って長期間かけて船で行っていた海洋調査も「HAMADORI」を使用すれば、ピンポイントに、頻度高く調査できるようになります。具体的には上空から海面をセンシングして漁業の効率化を図る、離島の監視、外国漁船の監視、離島物流などにも活用可能です。
最近では洋上風力発電機器建設前の事前環境アセスメントや建設後の点検、そして宇宙ロケット実験時の落下物の捜索に使えないか、というような相談もあります。海に関するさまざまな調査ニーズに「HAMADORI」を使ってもらいたいですね。
「HAMADORI」の開発や宇宙への憧れについては、2022年7月にテレビ東京の探求の階段でも詳しく紹介されました。
また航続時間8時間を目標に開発中の大型機「HAMADORI6000」は、ペイロードに調査機器を詰め替えられるので、海底状況の把握など幅広い分野への展開を目指しています。2022年には海面から海底1,300mのところにある基地局との通信測距実験にも成功しました。
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ーー会社の登記を東京から南相馬に移転したのはなぜですか?
SELは2022年に東京から福島県の南相馬に本社移転をしました。首都圏は実験の場所を確保するのが大変なんです。その点南相馬は、福島ロボットテストフィールドがすぐ近くにあったり、行政がワンストップで対応してくれたりと実験環境・制度が充実しています。飛行実験・検証・改善をこんなにも早いスピードで回していける場所は、南相馬以外にはなかなかありません。
ーーSELで働くのは、どんな人が向いていると思いますか?
SELでは機体の設計から試作、飛行制御ソフトウエアの開発、実機の製造まで全ての工程を自社で行っています。そのため大規模なプロジェクト内での細分化された仕事に物足りなさを感じる人や、より全体的な視野を持って開発に携わりたいと思っている人には、楽しんでいただける環境です。
試作機などは特に、スタッフ自らのお手製です。自分の専門分野以外のことも興味を持って勉強したり、仲間とディスカッションしながら開発を進めていけるような人、ものづくりを楽しめる人と一緒に働きたいですね。

ーーベンチャー企業だと待遇面や社会保険が心配です
そのあたりは実はしっかりしたいなと思っているポイントで、前職の給与を下回ることがないような配慮をしています。社会保険も完備です。実際に大手企業から転職したスタッフも、待遇・社会保険の面で安心したと言っています。
ーー2023年はどんな年にしたいですか?
今年(2023年)は、海外で行われるエアショーや、国際学会にも参加予定です。より多くの人に飛行艇型ドローン「HAMADORI」を知ってもらい、まだまだ未知の部分が多い海洋調査・研究に役立ててもらいたいです。

ーー最後に、SELに興味を持ってくれた方にメッセージをお願いします。
SELは航空力学や機械設計、電気、構造設計、組み込みソフトウエア開発などの知見がある人を求めています。ご自身でもともと持っている知識を現場に落とし込んで、ものづくりを楽しんで頂ける方をお待ちしています。「大学や大学院で研究してきたこと、また企業での実務経験を生かして、ワクワク&ゾクゾクするものを作りたい」そんな人は、ぜひご相談ください。
オンラインでのカジュアル面談や、実験を見に南相馬に来ていただくのもOKです。ぜひお気軽にご相談ください。